淋しいお月様
セイゴさんと会えなくなってから数日。

私はセイゴさんが作り置きしてくれていた冷凍ご飯とおかずをチンして食べていた。

掃除はいきなりきちんとするのは無理だったけど、1日に5分だけは身の回りのものを片付けるようにしていた。

ちょっとは女子力、身につけないと。

綺麗に片付いている部屋を見せて、セイゴさんに褒めてもらうんだ。

そう思いながら、毎日を過ごしていた。

そして、今私は、会社帰りのコンビニに来ていた。

毎日のビールは辞められなかった。

と、ふと何かを感じ、私は何気なく本のコーナーを覗いてみた。

『タクミ、新恋人とラブラブデート』

と銘打った週刊誌があった。

し、新恋人……?

私はすかさずその本を手にとり、ぱらぱらと中をめくってみた。

そこには、遊園地でソフトクリームを食べている写真と、公園でセイゴさんがギターを弾いてい
る写真が激写されてあった。

私はほっと胸を撫で下ろす。

新恋人、って私のことだったのね。

今、セイゴさんと会ってないから、そのうちに他の女のひとと仲良くしてたのかと、一瞬思った。

私はその週刊誌をそのままレジまで持って行った。

ビールも忘れずに。
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