淋しいお月様
今頃、何してるのかな。

電話……かけてみようかな。

私はふと思い立って、彼のアドレスを表示させた。

電話するなんて、初めてだ。

発信ボタンをタップする。

携帯を耳に当てる。

出てくれるかな――。

プルルル……プルルル……プルルル……。

呼び出し音にどきどきする。

セイゴさん、気づいてくれるかしら。

プルルル……プツッ。

4コール目で電話が繋がった。

「もしもし? セイゴさん?」

『あ~、スタッフじゃないのか。星羅ちゃん?』

電話器越しの声に、嬉しくなってしまう。

だけど、どこか不機嫌そうだ。

「元気にしてた?」

『ああ』

なんだか素っ気無い。

「会いたいよ、セイゴさん……」

私は思わず本音を漏らしていた。

『俺は今、曲作ってんだ!』

そう大声をあげると、ガチャッ、ゴロッという音がした。

どうやら携帯を投げつけたらしい音。
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