淋しいお月様
私はぐびっぐびっ、とラッパ飲みでワインを減らした。

あ~、ふらふらしてきた。

壁にもたれかかり、両足を開いた。

このふらふらが気持ちいいんだよな~。

こんな姿、絶対誰にも見せられない。

静哉にさえ見せられない。

絶対、幻滅される。

それ以前に、音信不通なのだけれども。

……会いたいな。

何してるのかな、静哉。

私は何気なしに、ワインを床に置き、鞄から携帯を取り出した。

静哉のダイヤルを画面表示させる。

今、電話したら繋がるかな――。
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