淋しいお月様
酔っ払ってくると、妙に誰かと話したくなる。

お月様に友だちの顔を照らし合わせて見る。

……サトミは元気かな。

サトミとは、高校時代の友人。

ミーハーで、よくミュージシャンのライブに連れて行かされたっけ。

私は肩がけのアニエスベーの鞄から、携帯を取り出した。

画面タッチで操作して、サトミの番号にアクセス。

『TRRR……TRRR……』

何回コールしても、出ない。

私は諦めて終話ボタンをタッチした。

ちょっとしょんぼりしながら、ぐいっ、とまたビールを飲む。

地元で実家暮らしのサトミは、きっと今の時間帯、家族団らんでもしているのだろうか。

そうだ、トモなら……。
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