淋しいお月様
どれくらいの時間が経ったのだろう。

いつの間にか、しとしとと雨が降り出した。

それにも構わず、私はずっとブランコに乗ってぼんやりとしていた。

しっとりと体が雨に包まれる。

それが何だか心地よかった。

しとしとと降りだした雨は、やがてザーザー雨に変わった。

公園を取り囲む木々が雨に揺れる。

だけど、全然私は冷たくなかった。

ぱた、ぱた、ぱた……。

そんな音に、はっと気がついた。

これは、雨傘に雨が当たる音だった。

気がつけば、こんなにも雨が降っているのに、私の髪の毛は全然濡れていない。

ふと見上げると、私の頭上には傘がかけられていた。

「――??」
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