淋しいお月様
「女の子ひとりで夜の公園にいるだなんて、危ないよ」

「見ず知らずのひとに、家まで送ってもらってるのも危ないです」

私は冗談で言い返した。

「そっか。そだな、はは」

彼はまた笑った。

よく笑うひとだな……。なんだかこころが解れる。

「……くしゅん、くしゅん、くしゅん」

3回立て続けにくしゃみが出た。

「ほら、風邪ひいた」

「う~ん」

「肌寒い中で、冷たいビールなんか飲んでるからだよ」

「でも、あなたの方がぐしょ濡れじゃないですか。あなたの方こそ風邪ひきますよ」

私は洟をすすりながら返した。

「僕は、こう見えても頑丈に出来てるから」

「そうなんですか?」

「そうなのだ」
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