淋しいお月様
お兄さんは、傍らの丸椅子に腰掛けた。
腕を組み、脚を組み、うなだれて座っていた。
何も話しかけてこなかった。
沈黙が、心地よかった。
昨日の今日、出会ったひとなのに、ここまでお世話になるとは……。
「天野、っていうんだね」
さっき、看護師さんが呼んだ名に気づいたみたいだ。
ふと、お兄さんが掠れた声を出した。
「はい。……名乗ってなかったですね。天野星羅っていいます」
「星羅ちゃん、か」
「はい。……お兄さんの名前は?」
「セイゴ」
「セイゴさん。あの、今日は? お仕事は?」
今日は、ええと、木曜日だったはず。
こんな昼間に、こんなところで、こんなことしてていいのだろうか。
腕を組み、脚を組み、うなだれて座っていた。
何も話しかけてこなかった。
沈黙が、心地よかった。
昨日の今日、出会ったひとなのに、ここまでお世話になるとは……。
「天野、っていうんだね」
さっき、看護師さんが呼んだ名に気づいたみたいだ。
ふと、お兄さんが掠れた声を出した。
「はい。……名乗ってなかったですね。天野星羅っていいます」
「星羅ちゃん、か」
「はい。……お兄さんの名前は?」
「セイゴ」
「セイゴさん。あの、今日は? お仕事は?」
今日は、ええと、木曜日だったはず。
こんな昼間に、こんなところで、こんなことしてていいのだろうか。