淋しいお月様
結果、私はインフルエンザではなかった。

ただの、風邪。

不幸中の幸いだった。

栄養点滴を打ってきた。

その間、ずっとセイゴさんは私につきあってくれた。

来る時と同じように、彼は私を助手席に乗せ、家まで送ってくれた。

途中、会話をしたのはひと言だけ。

「随分大きな車ですね」

彼の車は、ワゴンタイプだった。

「ああ、運ぶものとか、あるから」

運ぶもの……?

私は疑問を抱いたけれど、そのまま口をつぐんだ。

話すのも、しんどくなってきたからだ。

病院に行ったはいいけれど、外出して体力を消耗した。
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