淋しいお月様
「ほんとは掃除機もかけたかったんだけど、埃舞うし、星羅ちゃんを起こしちゃうかなって思って」

「何から何まで……」

私は深々とあたまを下げた。

「いいって。今、ポカリ持って来るから、水分摂って」

私はやっぱり起きているのがしんどくて、またベッドに横になった。

飲み物を取りにキッチンから戻ってきたセイゴさんは、優しく言った。

「まだ辛いか」

「ちょっと……」

「じゃあ、シチュー食べたら、薬飲んで休みな」

まるでお母さんみたいだ。

故郷の母を思い出した。

セイゴさんの作ってくれたシチューは、かぼちゃとキノコが入っていて、スープのようにとろとろに仕上げてあった。

何だか涙が出そうだった。
< 72 / 302 >

この作品をシェア

pagetop