淋しいお月様
聞きたいことは山ほどあったけれど、ここはそっとしておこうと思った。

私の看病で疲れているのかもしれないし。

私は音をなるべくたてないように、キッチンへ移動し飲み物を取ろうとした。

んん?

セイゴさんが綺麗に整頓してくれたキッチンには、お米の炊けるおいしそうな匂いがした。

コンロにかかってある鍋には、これもまたおいしそうなわかめと厚揚げの味噌汁。

お皿にはラップがかけられてあって、そこには目玉焼きと焼かれたウインナーがあった。

セイゴさん、私の為に作ってくれたのだろうか。

ありがたい……。

私はシャワーを浴びてから、ご飯をいただこうと思った。

数日分の汗と垢を落とし、ピカピカな気分でシャワーから出て部屋に戻ると、セイゴさんが目を開けて、横になったまま天井を見上げていた。

「あ、おはようございます」

「ああ、おはよう」

「具合大丈夫ですか?」

「君の方こそ。大丈夫?」

どこまでも優しいセイゴさん。
< 75 / 302 >

この作品をシェア

pagetop