淋しいお月様
「私はすっかりよくなりました。今日から仕事復帰します」

「無理しないでね」

「はい。……セイゴさんの方は、私の風邪とか伝染ってませんか。それに、フローリングに地べたで寝てるだなんて……」

「俺はこう見えて頑丈にできてるから」

そう言って笑う彼。

前にも云ってたけど、とても頑丈そうには見えないのが正直なところ。

全身骨でできてて、薄っぺらい体だし、肩も相当ななで肩だし、顔のラインも細いし。

「とりあえず、ご飯食べなよ」

「はい。ありがたく」

「俺はもうちょっと眠らせて」

「……はあ。いつからここにいたんですか?」

「出かけたのが夜中の11時くらい。帰ってきたのが6時」

「夜勤のお仕事なんですか?」

「まあ、今はそんなところ。ふあ~あ」

欠伸まじりでセイゴさんは答える。

「じゃあ、寝てていいですよ。お客用のお布団、出しますから」

「ありがたい」

そう言って、私が押入れからあたらしい布団を出している間にも、またセイゴさんは眠りに入ってしまっていた。
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