淋しいお月様
お弁当で盛り上がって楽しい
「天野さん、この間安藤女史にしかられてたでしょ」

一人きりで今日も職場の休憩室にいたところを、急に親しげに話しかけてくる子がいた。

髪の毛はゆるいウエーブヘアで、色が白くて、ピンクのチークなんて塗っていて、可愛らしい女の人だった。

首から提げてるセキュリティカードのストラップの色が、赤だ。

私と同じ、派遣社員という立場を示す。

「はい……。リボと分割を間違っちゃって」

安藤女史、とはその時に私が注意を受けていた上司だ。

「それで、ショックで仕事休んでたの?」

彼女のストラップには”相田ユア”と書いてあった。

相田さんは、私が座っていた丸テーブルの椅子に腰掛けた。

「いえ。たまたま風邪ひいちゃって……」

「散々だったね。安藤女史の言うことは気にしなくていいよ」

「でも、私のミスだから……」

すると相田さんは首を振ってにこにこと笑った。

「大体、バイトにリボ処理させる会社の方がおかしいよ。責任とれっつっても、どうせバイトの身なんだから」
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