淋しいお月様
友だちって、こんなにも簡単になれるものだったのか。

「天野星羅です。よろしく……」

私はおずおずと自己紹介をした。

「私は相田ユア。星羅ちゃんって呼んでいい?」

「はい」

「敬語じゃなくて」

「う、うん」

「私のことは、ユアって呼んでいいからね」

ハキハキ、キラキラしたひとだなって思った。

まるで、中学校の始業式で交わす挨拶のようだ。

胸が高揚していた。

友だち、できた――。

今までの淋しさが、ウソのようだった。

孤独な核シェルターから、殻を破って抜け出した気分だった。
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