淋しいお月様
「ところで星羅ちゃん、もう春なのにおでん食べてんだ?」

「ああ、うん……」

中身は入っていない、とは言えなかった。

スープだけただでもらってる、とは言えなかった。

「それに、おにぎりだけ? お腹空かない?」

ユアさんは、色とりどりのお弁当を広げている。

「でも、ビンボーで、コンビニのお弁当とか買えないの」

「自炊すればいいじゃん。お弁当なんて簡単にできるし、節約できるよ」

ふわふわの卵焼きを頬張るユアさん。

「自炊かあ……」

「私も、弟と二人暮らしでお金ないから毎日自炊」

「料理なんて、ほとんどしたことがないからな~」

私はずるずるとおでんの汁をすする。

「簡単だよ。お米炊いて、あとはソーセージ焼くなり、卵焼くなり、冷凍食品でもおいしいものあるからね」

「やってみようかな」

「うん、やってみなよ」
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