淋しいお月様
「おはよ~」

私がベッドの上で目覚めると、セイゴさんがそこにはいた。

私の顔を覗き込んで、にこにこしている。

「おはよう……」

「今日はいい天気だよ。どっか行きたいねえ」

何だか、うきうきと楽しそうなセイゴさん。

「何かあったの?」

「何が~?」

「テンション高いよ」

「ランナーズハイってやつ? あとは徹夜明けだからでしょう」

そう言って、勝手知ったる押入れから、客用の布団を取り出すセイゴさん。

「眠るわ~。ねむ~」

またここに泊まるの……?

私は別に嫌な気もしなかったけれど、セイゴさんはどんなつもりでここにいるのだろう。

もしかして、セイゴさんってホームレスなんじゃあ……。

そして、夜間の仕事って空き缶を集めて換金したり、新聞紙やらぼろ切れやらを集めてるんじゃないかしら……。

それが、”自由業”。
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