お姉ちゃんの憂鬱
「…かなちゃん?かーなーちゃん?」
「ん?どした?」
「どーしたじゃないよ。なにぼーっとしてんの?」
「いや、ちょっと考え事。何かいった?」
「んもう!かなちゃんは俺の髪どー思う?って聞いたの!」
「先輩つけろ。」
「うー、もういいじゃん別に!ずっとかなちゃんって呼んでんだからさあ!」
「ダメー」
幼馴染の誠は1つ年下のくせに敬語は使わないし、いまだに「かなちゃん」呼びだから、少しでも先輩らしさを出すために呼び方だけでもと「かなちゃん先輩」に改めさせた。
無駄にでかい後輩に「かなちゃん」なんて呼ばれたらあたしのが年下に見えて気にくわないからな。
まぁ、ほとんど改められてないし、あたしも訂正するのが面倒とか思い始めてるんだけど。
「…じゃあ、かなちゃん先輩は、俺の髪色どう思いますか?」
「バカみたいだと思います。」
「えぇー…」
このミカン頭はこいつが高校に入ってすぐにできたお気に入りの女の子、みなちゃんだかに言われるがままに染めたもの。
黒髪のが似合ってるのに、本当にバカだ。
ただでさえ顔が派手なんだから、そんなバカみたいな色にしたらただのチャラ男になってしまうじゃないか。