お姉ちゃんの憂鬱

「てかお前昼飯は?」


「忘れちゃったから購買行こうと思ってたけど、お説教されてたら嫌いなパンしか残ってなかったから、今日は断食」



はぁー…。バカだバカだと思っていたけど、ついに昼飯にもありつけなくなったのか。



「ほら。あげる。あんたこれ好きでしょ?」

本当は放課後にでも食べようと思ってたあたしのメロンパン。


「え、でも、かなちゃんのお昼ご飯は?」

「もうあんた来る前に一個食べたから。足りないとか言うなよ?」



パン一個でも十分に活動できるあたしと違って食べざかりのあんたには一個じゃ物足りないかもしれないけど、断食よりはいくらかましだろ。



「かなちゃん…大好きー!」


「はいはい。わかったから、さっさとそれ食べてさっさと教室戻りなさい。」


「もー俺の愛の告白なのにー。」


「はいはい。いつもいつもどうもありがとう。」



ぷりぷり怒って、でも嬉しそうにメロンパンにかじりついて、どうせふざけて言っている“大好き”にあたしがどれだけ心臓を働かせているかも知らずにこいつはいつもにこにこにこにこ幸せそうに笑うんだ。


世話が焼けるし面倒くさいけど、その笑顔にまた心臓が騒ぐ。


それすらもいとおしいと思える存在。

それがあたしにとっての竹内誠という男だ。



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