お姉ちゃんの憂鬱
「いい子にしてたよ!」
と笑顔で答える誠は今思いっきり尻尾を振っているのだろう。
「…あたしを挟んでいちゃつかないでくれるかな?」
「あ、まどか起きたの?」
「かーちゃんが思いっきり引っ張るからだろー痛かったなぁ」
「ごめんごめん。起きたなら帰ってちゃんと寝なさいよ。お迎え来てるの?」
「あー…ん、まぁ帰るわ。じゃあまた明日ね。連絡する」
明日の約束も忘れていないようで、ひらひら手を振り行ってしまった。
その先に保護者らしき姿は見えないが、一人で帰るのだろうか。
「かなちゃん、おかえり!荷物持つよー」
「別にお迎えとかいいのに」
「そういうこと言わないの。いーんだよ、俺がお迎えに来たかっただけだから。その方が早くかなちゃんにおかえりって言えるでしょ」
そう言ってニッコリ笑った誠はなんかもう可愛くて仕方なかった。
何こいつ。愛くるしい奴め。
「じゃ、早く帰ろうか。お母さんたちも待ってるだろうし」
この笑顔のお出迎えのお礼に、帰ったらお土産を広げて喜ばせてやろうじゃないか。