お姉ちゃんの憂鬱

勉強を始めて1時間。


そんなに人の手助けが必要いらない国語を中心に進めた。

教科書見ればなんとかなるし、最悪解答みちゃうし。



あたしが指定した2時半まであと10分。

あとはここまでの丸付けでも適当にしてしまうか。


と、ふと正面に座る直くんが目に入る。



うむ、ちゃんと集中して勉強をして……






「ない?!」



「ん?なんだ?」

「直くん、…何をしているのかな?」


「あ……ついに見つかってしまったようですね。バレてしまったのなら仕方ありません」



いやいや、そのほのかに悪役臭香る台詞なんなんだよ。

そんなんじゃお姉ちゃん誤魔化されませんからね。



「今書いていたものを見せなさい」


「…すみませんでした」




負けずに厳しい姿勢で行くと、大人しく正座をしてノートを差し出す直くん。


そのページには、正面に座って勉強をしているあたしの模写がされていた。

なんだよこれ、めちゃめちゃ恥ずかしいじゃないか。




「何を書いてるんですか君は」


「…ごめんなさい」


「うわ、うまいな」


「おー、かーちゃんだ。すげぇ」


「直江くん、絵うまいんだね!知らなかった!」


「みなさんには隠していましたが、実は僕は絵を描くのが得意という裏設定があったのです」



いやだから、さっきからなんなのさその口調。



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