お姉ちゃんの憂鬱
急に会話に混ざってくるまさえには毎回困りものだ。
本当に唐突にノーモーションで切り込んでくるから慣れてない人はまさえの話術に振り回されるのだ。
「でも、むやみに弁当とか買っちゃうとお金がしんどいんで仕方ないんですよ」
あははと苦笑いでまさえの勢いに対抗するまどか。
ごめんねえこんなにぐいぐい行く母親で。
ご飯を食べた後、なんとなく元気のないまどかが心配になり、部屋へ招待した。
鍵を取りに来た時…いや、みんなで家から帰るときか?
そのくらいから本当になんとなくな変化なんだけど、テンションとか表情が硬い気がするんだ。
「お家、大丈夫?厳しいんじゃないの?」
「ん、今日は大丈夫。帰ってもどうせ誰もいないし」
「そうなんだ?親は?」
「仕事。だから平気」
「そっか。あれ?まどかって兄弟とかいないんだっけ?」
「いないよー?一人っ子。だからかーちゃん羨ましいよ。弟もいてペットもいて」
「遥香は自慢の弟だからね!」
「ペットは?」
「自慢ではないかなぁ…」
「それペットが聞いたらへこむんだろうな」
「だろうね。でも本当にアホでどうしようもないからさ」
「でもそんなペットが好きなんでしょ?」
「そう言われてしまうとそうなんだけどねー…」
ニヤリと笑うまどかに苦笑いを返していると、廊下で何かがガタリと音を立てた。