お姉ちゃんの憂鬱
遥香かなーなんてのんきに思っていた矢先、ガチャリと開いたドア。
廊下にはだらしなく顔を緩ませた誠と、誠を羽交い絞めにしようとする遥香の姿があった。
「…あんたたちは、いったいそこで何をしているのかな?」
「かなちゃん!俺もかなちゃんが大好きだからね!」
「おー、いつも以上にストレートで馬鹿正直だな。なにペット、盗み聞きしてたわけ?」
「はい!」
「開き直ってんじゃねぇよ馬鹿誠。ごめんね姉ちゃん。やめろって言ったんだけど…」
「うん、遥香はやっぱり自慢の弟で、誠はやっぱりどうしようもないアホだ」
「こんなところで再確認してやるなよペットもへこんで…ないな」
「だって、そんな俺を好きでいてくれているってことを知ってしまいましたからね!もう何も怖くない!」
「こいつどこまでもアホだな…姉ちゃん、やっぱりこんなアホと付き合うのはどうかと思うよ」
「うるせえよ遥香!お前もういつもいつも邪魔しすぎ!お前いると全然かなちゃんとイチャイチャできない!」
「んだと、この駄犬!」
「シスコン!」
「ミカン頭!」
…この二人はなんでいつもこうなんだろうか。
うるさくて仕方ないわ。
「二人とも、まどかの前でなにやってるわけ?うるさいから、ケンカするならリビングでしな」