お姉ちゃんの憂鬱
「ちょっとテンション下がる話してもいい?」
そう前置きをしたまどか。
「どうぞ」と促せば、一つため息をついて話しはじめた。
「あたしの親さ、再婚なんだよ。まぁそれは別にいいって言うか、そんな偏見持ってたわけじゃないんだけど、まさか自分の親がそんなことになるなんて思ってなかったからさ、どうしても新しい母親になじめなくて」
「そうだったんだ」
「うん。その再婚の関係でこっちに来ることになったわけ。だから悪いことばっかじゃないんだけど…なんとなく、ね?」
「そっか…」
だからあんな変な時期に編入してきたのか。
再婚だなんて、想像できないや。
親が変わるってどんな気持ちなんだろう。
やっぱり寂しいのが強いんだろうな…
「あたしは、実際にその立場に立ったことがないから、気持ちわかるよとかは言えないけど…、一緒にいるときにまどかが笑っていられるように頑張る。そんでまどかが一人で寂しくなりそうなときもあたしのこと思い出して寂しくなくなるように頑張るよ」
「ふはっ なにそれ?すげーイケメンだな」
「え、すごい真剣に考えたのに」
「だから言ってんだよ。素でそんなこと考えられるかーちゃんマジイケメン」
「…あたしがイケメンすぎて惚れるなよー?」
「ぶはっ 惚れねーよ!」
二人で目を合わせてくすくす笑っていると、まどかのiPhoneがけたたましく鳴った。
「あ、やば。母親帰ってきたっぽいなこれ」