お姉ちゃんの憂鬱
「電話、でなくていいの?」
「いいのいいの。放置」
いまだに鳴り響くiPhoneをあたしのベットに放り投げ、見ないふりをする。
しばらくして電話の音は消えたが、すぐ後にピロリンと何かの通知音がした。
おそらくメールかLINEかそこらへんだろう。
「その新しいお母さんが昨日言ってた厳しい人なの?」
「厳しいってか心配性?過保護?なんかものすごく干渉しようとしてくるからウザったくて」
「何その反抗期真っただ中な答え」
「いやでも急に他人から母親になった人にそこまで干渉されたくなくない?」
「うーん、まぁそうか。言っても他人だしなぁ」
「でしょ?普段仕事で忙しいからってろくに家にもいないのに、家に帰ってきてあたしがいないとすぐこうなんだよ。どこ行って来たの?誰と?何してきたの?って。なーんかそういうのに答えてたら虚しくなっちゃって」
「ふーん。でもそれって単に心配してるだけなんじゃないの?」
「前のお母さんが結構放任っていうか、ゆるゆるだったからさ。ギャップに戸惑うわけよ」
「そうなんだ?…てかさっきからピロリンピロリン止まらないんだけど?読んであげなよ」