お姉ちゃんの憂鬱
ベットの上に放り投げられたiPhoneをまどかに手渡す。
一通り画面を眺めたまどかは眉間に皺を寄せため息を一つ。
「…帰るかぁ。これ以上粘ってもうるさいだけだしなー」
「そうしな。…送って行こうか?」
「なにかーちゃん、どこまでイケメンになるつもりなのあんた。あたしを惚れさせる気かい?」
「惚れる気なの?」
「いやそんな気は全く起きないわ」
「だろうよ。あたしも惚れさせる気なんて皆無だわ。ほら、そんなことどうでもいいから、帰ってあげなよ。きっと心配して待ってるよ」
くだらないやり取りに笑顔を見せてくれるまどかにホッと安心する。
まどかが家でどんな状況なのかはまだいまいちわからないから、簡単には言えないけど、少しずつ歩み寄っていければいいじゃないかな。
「また来てもいい?」
「あたりまえでしょ。てか3日後にまた来るじゃん」
「それもだけど、こう個人的にもさ?」
「イケメン香奈子さんが拒否するとでも?」
「ぶはっ そうだよね!イケメンなかーちゃんならダメだなんて言うはずないわ!うん、なんかあったら避難してくるかもだから、そんときはよろしく」
「どーんと待ち構えていてあげようじゃないの」
最後に一つ馬鹿みたいに笑って、今日は寂しそうな顔は見せないで帰って行ったまどか。
まどかの寂しさが少しでも薄れたのならいいんだけどな。