お姉ちゃんの憂鬱

「かな!海に行こう!」



リビングに戻るといきなりさぁちゃんが目をキラキラさせてそう言い切った。

なにがどうなってそうなった。




「いいですね、海。僕はあのシャチの浮き輪を乗りこなしたいです」


「直江が先に食いつくとは思わなかった」


「お前にシャチは無理だろ。オレがシャチに乗る」


「ダメですメグ君。君は砂浜で埋められててください」


「なんでだよ!」



せめて海には入りたい!とよくわからないツッコミをしているメグは放っておいて、さぁちゃんに向き直る。



「なんで唐突に海?」


「唐突っていうか、普通に、暑いねー海行きたいねー行くか!みたいな」



それを唐突と言わずして何を唐突と言おうか。



「ね、みんなで行こうよ!ペットくんも連れてさ!あ、弟くんも一緒に連れていこうよ!」



誠と遥香も…?

そんなメンバーで海だなんて…なんて楽しそうなんだ!



「よし、行こう!」


「やった!いつ行く?もうすぐ行かないとクラゲ出ちゃうよ!」


「まだ大丈夫でしょ。でも決めたからには早く行きたいね!みんなはいつが暇なのさ?」


「あたしはいつでも」


「僕も大丈夫です」


「あ、うちの母親の親戚が海の家やってんだけどさ、そこいかねぇ?たぶん泊りも可能だぞ?」


「海の家!お泊り!最高だねそれ!吉岡くん、ぜひお願いしたい!」



海の家だなんて夏の風物詩だなぁ。

お昼はバーベキューで夜は花火なんかできたらもう最高だね。

それだけで夏満喫だよ。
お腹いっぱいだよ。



「じゃあ、かなはペットくんと弟くんの予定聞いといてね!」



笑顔のさぁちゃんに押し切られてうんと言ってしまったが、あの子ら勉強も部活も忙しいんじゃないんだろうか…?





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