お姉ちゃんの憂鬱

「ということなんだけど、二人とも、海一緒に行く?」

「「行く!」」




その日の夜、丁度家に遊びに来た誠と遥香に昼間のことを話すと、二つ返事で頷いてくれた。


「かなちゃんと海…いっぱいイチャイチャしようね!」


「なんでそうなるのさ。みんなでって言ってんだからそんなの無理です」


「てかオレがいるのにそんなことさせるわけないでしょ?」


「だって最近かなちゃんあいつらのことばっかで全然構ってくれないし…」


「誠だって部活で忙しいでしょ?」


「本来ならかなちゃんだって部活のはずなのに…」


「それは仕方ないでしょ。女バスは3年生抜けてほとんど機能しなくなっちゃったんだから」



もともと人数が少なかった女バスは、この夏に3年生が引退したことでチームすら組めない人数になってしまったのだ。

このままだと部の存続すらあやしい。


なぜここまでバスケ部の人気がないのかは聞かれても知らないため答えようがない。

ただ言えることとしては、夏休み中の部活はほとんどなくなってしまったと言うことだけだ。



「かなちゃんと一緒に部活行きたいのにー。1人で学校まで行くのすっごいつまんないんだからねー?」


「そんなこと言われても。遥香は受験勉強大丈夫?」


「大丈夫大丈夫。そんなに切羽詰ってるわけじゃないし、たまには息抜きも必要でしょ?」



にっこり笑った遥香に心から癒されていると、横から誠の腕が伸びてくる。

そしてそのまま抱き付かれてしまった。




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