お姉ちゃんの憂鬱


その後、おんぶお化けのごとくべったりあたしの背中に張り付いていた誠。


何が落ち着くのか知らないが、あたしのうなじに頭をすりつけるのはやめてほしい。

だってくすぐったい。



「かなちゃん、噛みついてもいいですか」


「人生でそんな質問される時がくるなんて思ってもみなかった」


なに噛みつくって。
怖いんですけど。



「かなちゃんの肌がすべすべで良いにおいするからいけないんです」


「なんだそれ。ヤダよ噛まれるなんて」


「大丈夫!甘噛みだよ!」


「全然大丈夫な気がしないんだけど。その自信満々な感じ怖い」


「じゃあ舐めるだけにする!」


「え、どうしよう誠がただの変態なんだけど」



こいつこんな変態性を持ち合わせていたのか。

ただのバカより質が悪いじゃないか。




「かなちゃん、言っておくけど、男なんてたいてい変態だからね?俺なんてかわいいもんよ?」


「遥香はそんな変態とかじゃないし」


「いやぁ…あれもかなりの変態なんじゃ…」



あんなに可愛い遥香が変態なわけないだろうに。


それに、メグだって直くんだって変態とは思えない。

…直くんは不思議な子ではあるが、変態じゃないだろう。


自分の周りにいる男子の変態度に関する考察を脳内で行っていると、階下から聖子さんの叫び声が聞こえた。


ご飯ですよの合図だ。




「ご飯だ。行こう」



そこでようやく背中に張り付くおんぶお化けを引っぺがすことに成功したのだった。




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