お姉ちゃんの憂鬱
「あんたたちって本当に仲イイよねー。アホな誠もカナちゃんの言うことだけは絶対に聞くから助かるわー」
おんぶお化けではなくなったが、手だけはギュッと離さない誠はもうあきらめてそのまま手を繋いでリビングに降りると、そんなことを言われてしまった。
「最近はそうでもないですよ?今だって、これ、離さないし」
繋いだままの手を挙げて見せれば、聖子さんはニヤリとどこか楽しそうに笑った。
「それほどカナちゃんのことが好きなんでしょう。ホント、小学生みたいな独占欲だよねー。見てるこっちが恥ずかしくなるわ」
「やられてるあたしもかなり恥ずかしいですよ」
「誠はそうは思ってないもんね?ようやく付き合えたからって浮かれてんのよこの人。カナちゃんのこと大好きなくせに色んな女の子に手ぇ出して、本当に馬鹿よねー」
「ちょ、おかん!それはもう解決した話だからもういいの!」
「えー、あたし誠がふらふらしてるの見て結構傷ついてたんだけどなー。なんであたしに大好きとか言いながら他の子と付き合うんだろー?って」
「え、そうなの?!かなちゃんそんなこと思ってたの?!嫉妬?それはヤキモチ妬いてくれたってこと?!」
「思ってた思ってた。本当にこの馬鹿野郎どうしてくれようかとか思ってた」
「……えっと、それはヤキモチと言っていいのかいかなちゃんや?」
「ヤキモチってより呆れ?諦め?憎しみ?あー、憎しみだ」
「……か、かなちゃん、実はヤンデレだったり」
「嘘だよバカ。それに、ヤンデレはお前だろ束縛野郎め」
「あらー、あんたたち二人してヤンデレなの?なにそれ面白い」
聖子さん、いい年してヤンデレとか言わないの。
そして面白くはないでしょうが。