お姉ちゃんの憂鬱

「直江はわかってないな。」


「何がです?」


ドン引きから無事生還したメグが、直くんの肩をポンとたたく。



「最初から全部見えてるよりすこし隠してるくらいの方がなんかいいだろ。恥じらいがある分可愛い。そしていつ脱ぐんだろう、どんな水着なんだろうという期待値が高まる。」


「なるほど。一理ありますね」




…真剣な顔で何を言っているんだこのアホどもは。

なんだ、ここにはアホしかいないのか。




「姉ちゃん、こんな脳内ピンクな奴ら置いていこう。オレ早く海入りたい」


そうだ、まとも要因最後の砦、遥香がいてくれた。



「よし、あたしが合図したら海までダッシュだ」


「オーケー」



そして三つ数えるうちにあたしは着ていたパーカーをさっさと脱ぎ去り、ゴーの合図であたしと遥香は砂浜を駆け出した。


後ろから「待てコラ」とちょっと物騒な叫び声が聞こえた気もするが、気のせいということにしておこう。





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