お姉ちゃんの憂鬱
急にそんなことを提案するまどかにさぁちゃんが慌てふためく。
「なんでそうなるのよ!無理、家とか絶対無理!」
「なんでさ?あ、見られちゃまずい内装でもしてんのかー?」
見られちゃまずい内装ってなんだ。
ぬいぐるみだらけとかポスターだらけとか写真だらけとか全部真っピンクとかか。
いや、でも結構そういう人いない?あ、でも趣味を隠してる人だったら見られたくないものかもしれないな。
「そうじゃないけど、今ものすごく汚いの!もう足の踏み場もないくらい汚くて進入禁止なの!」
「片付ければいいじゃん?」
「あんたね、それができないからそんな状態になってんでしょ!あたし片付け大っ嫌いなの」
なんと、意外な一面である。
結構さぁちゃん細かくなんでも小奇麗にしているっていう勝手なイメージあったからな。
「…2人は修学旅行のときのあたしの苦戦っぷり見たでしょ?」
「あぁ!確かに!!」
「そう言われればそうだったな!」
「そうなのか」
そうだ、さぁちゃんは、ホテルの部屋から出発する前の夜、全く片づけが進まず一人うんうん唸っていたのだ。
キャリーバックに入れては出して、出しては入れて、最終的に中身が全部床に並べられるという謎の現象が起こったときにはさすがに驚いた。
綺麗に入れようとすればしただけ、汚くなっていくミラクル。
さぁちゃんは確かに片付けができない星の元に生まれていた。