お姉ちゃんの憂鬱
「ということなので、家に来るなんて言わないでください」
「じゃあどこでさやかさんの手料理が食べられるんですかー?」
「…学校でいいじゃん。部活の時に遊びに来れば?」
「そうするとかーちゃんの女バスと日程合わなくなるっしょ。あたしも平日バイト多いし」
「…じゃ、じゃあ、いっそかなの家で…」
「さや村さんは人の家のキッチンを勝手に使おうと言うわけですねー?」
「そ、そういうことじゃないけど!というかさや村ってやめてよ!」
「ならさや村さん家を片付けるのが一番手っ取り早いと思いまーす」
「さや村言うなってば!!馬鹿まどか!」
おうおう急に勃発したよ二人の口戦争。
口論とか口喧嘩とかじゃない、口戦争だ。
この二人は今でもたまにこうやって唐突に戦争を始めるだが、毎回のことなのでクラスの名物になりつつある。
二人とも本気で戦っているのが見ていてとても面白い。
しかし今は教室ではなくお店の中。早急に仲裁しなければ。
「出番だぞ香奈子」
静かに口戦争を見守っていたメグがそんなことを言う。
この二人を止めるのはいつだってあたしの役目だ。
「たまにはメグが止めてみたら?」
「やだよ。面倒くさい」
「この正直者め」