お姉ちゃんの憂鬱
「あ、あぁー…あれね。気づいてたの?」
「え、いや、なんか話したそうにしてるなーって程度だけど」
「気づいてたのね」
「うん、まぁ」
「…そっか。すごいね、かなは」
「え、ありがとう?」
急にしんみりしだしたけど、どうすればいいんだこれ。
「あ、えーっと、あのね、修学旅行の時二人で話したの、覚えてる?」
「部屋で話したやつ?」
「うん、それ」
「覚えてるよ」
確か、さぁちゃんが、さぁちゃん軍団とつるむのがしんどいって話だ。
マネっこが嫌で、みんなに合わせてキャラをつくるのがしんどいって言っていた。
「でさ、二学期になってから、ちょっと歩み寄ってみたわけよ。部活に顔出したりさ」
そうか、そう言われてみれば料理部の二年はさぁちゃん軍団ばかりで構成されていた。
確かに二学期の始めにさぁちゃんが部活に行くのを見たことがある。
一学期、あたしたちとつるみ始めてから全くと言っていいほど行っていなかったのに。
「でね、話してみたのさ。今までごめん、じゃないけど、そんな感じで。そしたらさ、なんて言われたと思う?」
あぁどうしよう、折角笑顔になってくれたさぁちゃんが、泣きそうになっている。
泣くのを我慢している。
「別にどうでもいいよって、言われちゃった…」
ついに、堪えていた涙が目の端から一筋流れ落ちた。