お姉ちゃんの憂鬱
◻︎駄犬邪険危険
「かなちゃん、俺はそろそろ限界のようです」
「そうですか」
誠の部屋のベットの上で横になって誠の漫画を勝手に読んでいると、背中からそんなことを言われた。
あたしの背中にベッタリくっつき、手をもぞもぞ動かしているのは言わずもがな、最近ミカン頭を真っ黒に染め直した誠君です。
やっぱり誠には黒の方が似合っている。
「なんでかなちゃんってばそんなに無防備なの?!馬鹿なの?!」
「うっわ、馬鹿に馬鹿って言われた」
「もう!そういうことじゃなくて!オレこのまま襲っちゃっても何も悪くないよね?!これっていわゆる据え膳ってやつでしょ?!」
「待って、もう少しでこの巻読み終わるから。今超いいとこだから」
「…つい20分前に全く同じ事言われたんですけどオレ!待ったよ?!20分お利口さんで待ってたでしょ?!」
「じゃあそのままもう20分お利口さんでいて」
「もう待てないよ!」
うがーっとあたしを転がした誠が上に乗る。
あたしはいまだ漫画から目が離せない。
だってこれ超いいところよ?
「もう待てないのでいただきます」
「あっ!返してよ誠の馬鹿!」
「返したら無視するから返しませんー!かなちゃんはこれからオレの相手するの。漫画はもうダメですー」
漫画を奪われ、ポーイと遠くに投げられる。
漫画を投げるなんてなんて奴だ。
曲がっちゃったらどうするんだ。