お姉ちゃんの憂鬱

その後、ざわめきが収まらない中に我らが担任、胡散臭メガネが登場した。



「なんの騒ぎだ。うるさいぞお前ら。さっさと席つけ」


「先生!これが騒がずにいられようか!いやいられまい!」


「岡部、今おれをイラッとさせた分課題増やしてやる」


「いや、本当に緊急事態なんすよ!これ見てください!」



岡部君のせいでいつの間にか課題が増えることになっているが、今はそれより直くんだ。

岡部君が直くんの机の上の教科書をもってメガネの元に持っていく。

それを見て言葉をなくす担任。




「先生。実は昨日、直くんの教科書が辞書にすり替えられていました。で、今日来たらこれです」


一応の補足説明を入れると、担任の顔がこちらを向いた。



「…一時間目は世界史だな。今日は特に連絡することもない。ホームルームは以上だ。授業の準備しろ。直江、三船、山城、本村、吉岡はおれと一緒に来い。鈴木先生には伝えておく」



いつもの胡散臭さを消した担任は、てきぱきとあたしたちに指示をあたえ、自分は内線電話をつかってどこかに連絡していた。

おそらく世界史の鈴木先生だろう。




「直江、お前は教科書全部もってこい」

「…わかりました」






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