お姉ちゃんの憂鬱

「そうですね…特にこれといってありません。恨まれるようなことをした覚えがないので」



そうだよね。

少し突拍子もないことはするけど、基本的に無害な直くんに恨みつらみを持つ人なんてそうそういないだろう。


それに、直くんが突拍子もないことをするのは、あたしたちの前がほとんどだ。

他の人の前ではいまだに大人しいのだから、恨まれることもないだろう。




「じゃあ、誰か…」

「ちょっと待て。お前らだけで話を進めるな」




少し息を切らして部屋に入ってきた担任が、自分のデスクの椅子を引っ張ってきてあたしたちが座っているソファの前に座った。




「遅くなって悪い。じゃ、何があったのか、わかることを全部教えてくれ」



そういった担任の顔からは、胡散臭さなんて微塵も感じられなかった。







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