お姉ちゃんの憂鬱
「で、次はこれ」
次に渡された3冊の教科書には『吉岡くん好きです』『山城さん付き合ってください』『さぁちゃんLOVE』
「そして最後にこれだ」
最後に渡されたそれには『かなこたん愛してる』と書かれている。
…なんだこれ。気持ち悪。
その他の教科書には、『調子にのるなカス』『地味』『不釣り合い』などなど。
「お前ら、それぞれにストーカーでもいるのか?」
ため息交じりにそんなことを聞かれても、各々首を横に振るばかり。
あたしに至っては一人ストーカー候補に入れてもいいか悩む駄犬がいるが、あいつは直くんと意外と仲がいいし、こんなくだらないことをするような馬鹿に育てた覚えはない。
あと『かなこたん』なんて呼ばれた日には完膚なきまでに殴る。
「つーことで、原因はお前ら。犯人像はお前らの熱狂的なファン、またの名をストーカーってところか。絵具の色が複数なのは、複数犯がそれぞれ分けて染めたから。文字の形もそれぞれだから複数犯なのは確定。おそらくそれぞれのファンが結託してやらかしたんだろうな。お前らのグループに直江がいることが許せないって感じ。結託してるところをみると、それぞれの力はそれほど強くもなければ、1人だったらこんな行動起こせないような奴らだな。そういう奴に限って一度暴走すると限度を知らず暴走するから厄介だ。」
そこまで一気にしゃべった担任。
なんという観察眼。
伊達にメガネじゃないね。