お姉ちゃんの憂鬱

普段突拍子もないことを言ってはあたしたちを驚かせてくれる直くんだか、これは別の意味で驚いた。


「直くん…」



直くんのこんなに男前な姿は初めて見る。

いつもの眠そうで何考えてるか分からない直くんは今休業中のようだ。



「大丈夫ですよ。ちょっと前の自分に戻るだけです。みんなと一緒に遊べないのは寂しいですが、みんなが傷つくよりずっとましです」



そう言い切った直くんは、いつもの無表情。

でも、ちゃんと口で言ってくれた。
寂しいって。



「直くん。やっぱり、あたしたちが守るよ。だから一緒にいよう?」


「でも、それじゃ…」


「別に大丈夫でしょ!危害を加えられないようにするために一緒にいればいいんだもん」


「そうそう。犯人の言う通り離れたら、相手の思うつぼじゃん?それは気に食わないっしょ」


「そうだな。それはムカつくわ」




担任の推測通りなら、犯人は単独では行動できない人たち。

もちろん推測の域を出ないが、5人で固まってれば手出しできないだろう。



「あーっと、仲良く青春してるとこわるいんだが、話進めてもいいか?」






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