お姉ちゃんの憂鬱
そのあと、田代君は直くんにも同様に謝罪した。
あたしと仲よく話す直くんに嫌がらせをしようと考えた時に、同じような思いを抱えた林君や遠藤君たちと話す機会があり結託して今回の事件を起こしたと言っていた。
他の人たちも直くんやまどかたちに謝罪をし、今回の事件は幕を閉じた。
「みなさん、今回は僕のせいで巻き込まれてしまって、本当にすみませんでした。」
「なんで直江が謝んの?」
「そうそう、直江君はなんも悪いことしてないよ。」
「むしろあたしがごめんなさいだわ。みんなごめんね。」
「いや、それもおかしいだろ。今回のは直江も香奈子も悪くねーよ。」
「それでも、僕のけじめです。ごめんなさい。」
「ま、直江君がそれで納得するならいいけどさ?」
今度田代君と話す機会があるならば、直くんについて田代君に説明してあげてもいいかもしれない。
なんで直くんがあたしたちと仲よくしているのか。
それは単に直くんの人柄がそうさせているだけだ。
一緒にいると楽しい。だから一緒にいる。
そんな単純なことだけど、友だち関係を続けていく上では途方もなく重要なことだ。
それに、今回改めて思ったことがある。
あたしの友だち関係は思っている以上に希薄で、あたしの人との関わり方は思っている以上に薄情なものだということだ。
興味がある人以外とは、一定の間隔をあけて接している。
だから会話は必要最低限。
用事がなければ話しかけないし、近づきやしない。
それが今回の事件の根幹にあるんだろう。