お姉ちゃんの憂鬱
「メガネ先生質問いいですか?」
勉強をしましょうと決意した次の日。
勉強不安組であるあたしと直くんは、昼休みに胡散くさメガネの元に教科書片手に質問しに来ていた。
「え、直江はオレのことなんだと思ってんの?メガネはオレの名前じゃないからね?」
「メガネについてより質問しに来たことに突っ込んでほしかったです。」
「え?!お前質問しに来たの?!」
「お姉ちゃん。この失礼な大人をどうしてくれようか。」
「お前が質問しに来たことに突っ込めって言ったんじゃねぇかよ。」
「いざ突っ込まれるとものすごいカチンときました。」
「先生、直くんに戦いを挑むのならスルーするスキルを最大値まで上げてからじゃないと太刀打ちできませんよ。」
直くんの理不尽かつ謎な発言は寛大な心とスルースキルがなければついて行けないです。
ちなみに、胡散くさメガネのことは、直くんの事件の時に少し見なおしたので、ちゃんと先生と呼ぶように改めた。
「で、質問なんですけど。」
「あ?あぁ、質問な。なにお前ら、もう勉強始めたのか?早くない?」
「その発言って教師としてどうなんですか。」
「いやぁ、直江が勉強しようと思ってくれていることにオレは感動を覚えるよ。あの直江がなあ…」
「え、でも直くんいつも真面目に授業聞いてるし、ノートも取ってるし…」
「直江、お前の一学期末の数学Ⅱの点数をお姉ちゃんに教えてやれ。」
「31点です。」
「赤点スレスレですかい…」
「ということで、直江の学力向上のためにぜひ尽力してくれたまえよ。」
「いやあたし人のために尽力する前に、自分のことどうにかしなきゃですから。きっと直くんの面倒はまどかたちがなんとかしてくれますよ。」