お姉ちゃんの憂鬱
直くんの泣き言を聞き流しながら進める勉強会も終わりを迎え、各々帰り支度を始める。
結局まどか母は飲み物をもってきた以来顔を出すことはなかった。
まさえは何かと理由をつけて邪魔しに来るからな。
「メグ、明日も勉強付き合って!」
「じゃー明日は学校終ったらやっか。」
「気を付けて帰りなー。直江、帰り道間違えるなよ。」
「山さんは僕を何歳だと思っているんですか。」
「小6だろ。」
「予想より高くてびっくりしました。」
「マジか。」
軽口をたたきながら階下へ降りていくと、またもや三つ指をつくまどか母。
え、この人はこれが基本スタイルなの?まどか父はこれに毎日迎えられてるの?亭主関白なの?
「お、お疲れ様でした!!お気をつけてお帰りください!!」
まどかの方をみれば、またあの冷めた目。
これが基本スタイルというわけではなさそうだ。
「お姉ちゃん出番ですよ。」
「香奈子、かましたれ。」
「かな、よろしく。」
なぜかまどか以外の3人から注がれる視線。
それには明らかに面白いことやれという意がこめられている。
またか。またあれをやれと言うのか。
「お断りである。」
「なんでだよ。お前の得意技だろ。」
「あんな得意技やだわ。メグがやればいいじゃんか。きっと似合うよ亭主関白。」
「お姉ちゃんのあれは亭主関白とは違いますよ。あれは殿です殿。」
「じゃあ直くんに譲るわ。殿役得意でしょ。」
「いえ、あれは女性がやってこそ真の面白さを発揮します。ということで、村さん言ってみましょう。」
「絶対に嫌。」
「ぶはっ……お前ら、ホント…!」