お姉ちゃんの憂鬱

次の日の土曜日。

今日は誠もあたしも部活があって学校に来ていた。といっても女子は午後は休みだから帰りはバラバラとなった。


人数が足りていない女子バスケ部にもはや選手同様に扱われているあたしは、今日も元気にボールと戯れた。

最近中学の時と同じかそれ以上に練習している気がする。マネージャーのはずなのにおかしい。



そんなこんなで汗臭いあたしは現在スーパーに来ております。


まさえが人参と玉ねぎとジャガイモとカレールーと牛乳と卵とチーズとヨーグルトとコーヒーゼリーを買って来いと言いつけたからです。


もはや買い忘れとかじゃない。ただのパシリである。


完全に今日の夜ご飯はカレーだ。なぜか渡されたお買いものリストに肉が入っていないが、きっと肉は頂いたとかで家にあるんだろう。

これで書き忘れとかだったら、練習終わりの誠に頼めばいいや。




「あ!」
「え?」




主婦のみなさまがしているように人参を眺めていると、後ろからどこかで聞いたことがある声が聞こえた。ちなみに、人参はそれっぽく眺めているだけでどれがいいとか全く分かってないです。



声の方向に振り向くと、ほんの2週間前に見た小柄な女性の姿がそこにはあった。

その顔は、あたしが振り向いたことで、「やっちまった」みたいなバツの悪そうな表情に変わった。



「あー、まどかのお母さん、ですよね?」

「は、はい!そうでございます!」



相変わらずの低姿勢でございました。




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