お姉ちゃんの憂鬱
月曜日。
まどかの手には弁当が入ったランチバックが握られていた。
「一歩前進?」
「さぁ、どうだろ?」
「お昼が楽しみだねぇ。」
「気合い入れたって言ってたから、ちょっと見たくない。」
「えー楽しみ。」
そんな会話をするあたしとまどかに首をかしげるのは直くんとさぁちゃんとメグ。
「なにお前らケンカ中じゃねぇの?」
「もう仲直りしたんですか?」
「なんか無駄な心配だったみたいね。」
そんな3人のところにいき、耳を貸すように言う。4人でこそこそ話しているとまどかが怒ったように突撃してきた。
「なんの話ですかー」
「まどか、あたしもこんどキャラ弁つくってくるからさ、そんな恥ずかしがんなって!」
「ちなみに僕の今日の弁当は自作ですよ。テーマは森です。」
「直江…もしかしてまたブロッコリー詰めてきただけじゃねーだろうな。」
「いえ、今日はアスパラも混ぜました。」
「直くん、そういう問題じゃないよ。」
「かーちゃん!勝手に暴露すんなよ!」
「だってまどか恥ずかしがっちゃうからさ?みんな知ってた方が後で恥ずかしくないでしょー?みんな、今日は豪華なキャラ弁らしいよ!」
「それは楽しみですね。」
「写メらせてね!」
「心から笑ってやるから心配すんなよ。」
「……お、お前ら…!!やっぱ弁当なんてやめる!」
「ママさんが悲しむぞー。」
いいんだあんな奴!と憤慨しているが、その顔はいつもの笑顔のまま。
いきなり全部を変えることは無理かもしれないけど、少なくとも家に帰るまどかが寂しそうな顔をすることはもうなさそうだ。
「あ、うちのママさんがかーちゃんのこと『面を上げいの人』で覚えてたぞ。」
「ひどいよママさん!!」