お姉ちゃんの憂鬱
「虚言癖?」
「さぁ?」
メグと顔を見合わせて首をひねる。
「メグがケンカ売られたんでしょ?」
「あぁ。なんか俺のせいでいろいろダメになっただなんだ言って殴ってきた。」
「あれ?知り合いなの?」
「…前の部活の先輩。」
「剣道部?」
「そういうこと。」
いまだに先生に切々と訴えている先輩を見る。いろいろって、何がダメになったんだろう?
「おい、今こいつがオレに言っていたことは本当だな?」
「え、違いますよ。オレ何もしてないし。」
「じゃあこいつが嘘を吐いているというのか。」
「まぁそうなりますね。」
「…吉岡。お前はまた同じことを繰り返すのか?」
「……あぁ、そう言えば同じっすね。それが丹野先輩の手口ってことなんじゃないですか?」
「て、手口だと?!なに急に意味わかんないこと言ってんだよ!」
だんだん話が分からなくなってきた。前って何だ。
あ、そう言えばこの体育教師は剣道部の顧問だったな。…剣道部関係の話なんだろうな。
「話から置いてかれたから帰還しました。」
「お帰りかーちゃん。」
「まどか、今度からあんな無茶ブリはやめにしましょうね。」
「だってかーちゃん以外に止められる人が思いつかなかった。」
「で、メグ君は本当に殴ったんですかね?」
「殴ってないって言ってんだから殴ってないだろ。そんなとこで嘘つく奴じゃないと思うけど。」
「ですよね。じゃあ、あの先輩さんが変な人なんですかね。」
「なんか前と同じとか言ってた。あの先輩も剣道部なんだってさ。」
「あ、それって、剣道部やめた時の話じゃない?殴ってケンカしてやめたとか言ってなかったっけ?」
「んー憶測で話しててもしょうがないけど、あたしもそうだと思うな。あの先生も剣道部顧問だし。」
いまだ話をしている体育教師の方に目を向けると、メグを引っ張ってどこかに連れていこうとしていた。
「え、ちょ、待ってください!」