お姉ちゃんの憂鬱

誠の言うことも一理ある。



この世はきっとたくさんの偶然が重なり合ってできている。それは、簡単に『奇跡』だなんて一言で括れないほど複雑で、難解なものなんだろう。


あたしが今誠と一緒にいられることもそうだし、あの4人と仲よくなれたのもそう。



すべての偶然を辿った先にできた「今」が幸せだと思えるのは、ものすごく有り難いことなのかもしれない。


そして、この先も当たり前のように幸せが続くと信じることが出来るのもすごいことだ。


誠がいて、まどかもさぁちゃんもメグも直くんもいる平凡で平和ボケしている未来が訪れたら、あたしはそれが幸せだと言い切ることができるだろう。




「あんたもたまには良いこと言うね。」


「かっこいい?」


「それはそうでもない。」


「ですよね!もうめげない!」



そんな幸せな未来では、隣にいつも誠がいる。

そう考えてしまうのはあたしにとって当たり前なこと。



「あたしの幸せのためにも、ずっと隣にいてくれなきゃ困るからね。」


「……っ!!もちろんっ!俺がかなちゃんから離れるわけないでしょ!」



完全に元気よく振られる尻尾が見えたが、誠だもん尻尾くらい生えるよな。







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