お姉ちゃんの憂鬱

「すごいねー。山城さん。」

「ねー。すごいわー。」



ぶりっ子さぁちゃん一団がぞろぞろと教室を後にし、ようやく活気の戻った教室で購買のパンをもっさもさと食していたあたし。


あたしの前で弁当をもぐもぐしているのは、2年になってから仲良くなったクラスメイトの美里ちゃん。



「チュッパはおいしいけど主食にはできないよな。」

「え、そこを気にしてたの?」

「だってさ、心配じゃない?飴でとれる栄養なんてたかが知れてるじゃん。」

「誰も三食飴食べてますなんて言ってないじゃん。」



…それもそうか。

朝夜しっかり食べてれば心配いらないか。


今日はお弁当を忘れちゃっただけかもしれないしな。



「しっかし、嫌いって言っちゃうとはなー」

「すごいよね。さぁちゃんかわいそう…」



なかなか本人に面と向かって〝嫌い″なんて言えないものだ。
たとえ心の中で思っていたとしても。


しかもあの〝私かわいいでしょ″オーラを全身に纏ったぶりっ子さぁちゃんに。

まあ、かわいそうとは思わないけど。




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