お姉ちゃんの憂鬱
机にまっさらな座席表と部屋割り表を置くと、途端にメグが非難の声を上げた。
「こんなん担任がやるもんだろ。シカトだシカト」
「そしたらメグが言ってきてよー」
そういうと、もろもろのプリントをもってメグが胡散臭メガネの元へ向かう。
おぉ、本当に言ってくれるのか。
と思いきや、いくつか言葉を交わしただけで戻ってきた。
その手にはまだプリントが握られている。
「なんだって?」
「岡部と佐々木と渡辺と同じ部屋にするぞって脅された」
おぅなんてこったい。
あたしの隣の席の岡部くんとそのお仲間、佐々木くんと渡辺くんはこのクラスのお調子者な仲良し三人組だ。
たいていの騒ぎの中に彼らは存在する。
そして確かこの仲良し三人組は同じ班だったはずだ。
「あの三人と同じ部屋だなんて、苦痛でしかない」
関わり始めてわかったことだが、メグは見た目こそギラギラしているが、性格的には割と物静かで常識人である。
口調と態度が少し乱暴だが、それも許容範囲内だろう。
そんなメグがあのハッチャケ三人組と同じ部屋になったら、確かに苦しいものがあるのかもしれない。