お姉ちゃんの憂鬱
「ということで、明日はあたしいないから」
帰り道、誠にそう告げると、なぜだか思いっきり嫌そうな顔をされた。
「夏休みまであいつらと一緒とか…許せん」
「え?なんだって?」
「んーや、なにも言ってないよ?」
何かぶつぶつ言ってると思ったんだけど。
最近こういうことが多くなったような気がする。
「ねぇかなちゃん、俺もそれ一緒に行きたい!」
「えーあんたも来るの?」
「嫌なの?だめ?」
「いや、ダメってことはないけど…何?買いたい物でもあんの?」
正直、あの自由人集団の相手をしていると、誠の相手まで手が回るかどうか…
「う、うん、そうなの!だから一緒に行く!何時に行けばいい?」
「…10時半にあたしの家に来てくれれば」
「オッケー!かなちゃんとデートたのしみだなぁ!」
「いやいっぱいいるけどね。他にわらわらといるけどね」
「じゃ、また明日ねー!」
あたしの言葉をまるっと無視しやがり、家の前でぶんぶんと手を振るミカン頭に耳としっぽが見える。
完全に犬だこいつ。
「また明日。寝坊すんなよー」
手を振り返せば嬉しそうに笑うから、あたしもつられて笑ってしまう。
あぁ、あの笑顔、好きだなぁ…