お姉ちゃんの憂鬱

「ということで、明日はあたしいないから」


帰り道、誠にそう告げると、なぜだか思いっきり嫌そうな顔をされた。



「夏休みまであいつらと一緒とか…許せん」

「え?なんだって?」

「んーや、なにも言ってないよ?」


何かぶつぶつ言ってると思ったんだけど。

最近こういうことが多くなったような気がする。



「ねぇかなちゃん、俺もそれ一緒に行きたい!」


「えーあんたも来るの?」


「嫌なの?だめ?」


「いや、ダメってことはないけど…何?買いたい物でもあんの?」



正直、あの自由人集団の相手をしていると、誠の相手まで手が回るかどうか…



「う、うん、そうなの!だから一緒に行く!何時に行けばいい?」


「…10時半にあたしの家に来てくれれば」


「オッケー!かなちゃんとデートたのしみだなぁ!」


「いやいっぱいいるけどね。他にわらわらといるけどね」


「じゃ、また明日ねー!」



あたしの言葉をまるっと無視しやがり、家の前でぶんぶんと手を振るミカン頭に耳としっぽが見える。

完全に犬だこいつ。



「また明日。寝坊すんなよー」


手を振り返せば嬉しそうに笑うから、あたしもつられて笑ってしまう。

あぁ、あの笑顔、好きだなぁ…





< 69 / 335 >

この作品をシェア

pagetop