お姉ちゃんの憂鬱

「しっつれーしまーっす。」

「まことくんっ!いらっしゃい!」



教室の後ろのドアが開いて入ってきたのは、オレンジ色の髪で甘いマスクを顔面にはりつけたパッと見チャラ男くん。

くりくりした目が昔飼ってた大型犬を思い出させる。


お出迎えは美里ちゃんの先ほどより1オクターブ上の声だ。



「…かなちゃん。なんかあったの?」



一応後輩の高校一年生。

あたしの幼馴染で高校まであたしがいるからと追いかけてきたおバカさん。

名を竹内誠という。

名は体を表すというが、誠という名前がまったく体を表してくれなかったなんともふらふらした男だ。



「なんかって、なんで?」

「だって、なんかいつもと教室の空気違くない?」


人の感情だったり、周りの空気の変化に敏感なところはほめてあげていいところかもしれない。




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