お姉ちゃんの憂鬱
ということで、ファミリーレストランで昼食を済ませたあと、あたしと誠だけ集団から離れた。
離れた途端に笑顔になる誠に、あたしもつい笑顔になってしまう。
なんだかんだいって、やっぱり好きなことに変わりはないからなー
「なにそんなニヤニヤしてんの?」
「だってやっとかなちゃんと二人になれたからね!」
「なんだそれ」
「よし、かなちゃんデートしよう!」
「はいはい、さっさと買ってみんなと合流しようね」
「……ゆーっくり歩いて行こうね!」
そう言って前を歩くあたしの手を掴んだ誠は、くっと力を入れて引っ張った。
そんなナチュラルに手を繋がれるとですね、あたしも一応ドキドキしちゃうわけですよ。
「手を離しなさいな」
「ダメでーす。ちゃんとペットのリードは握っててくださーい」
「…なんだそれ」
あんまり嬉しそうに言うもんだから、あたしも離すに離せなくなってしまった。
まぁ、たまにはこんなのもいいか。
いつもあんまり構ってない分、構ってあげようじゃないか。
「しゃーないな、じゃ、デート、いきますか。ふふっ 迷子になんないように離すなよー」
今度はあたしがキュッと手を握り、引いて歩き出す。
ペットのリードは離さないようにしないとね?
「か、かなちゃん?!」
2,3歩歩いたところで動かなくなった誠。
「ん?なによ、早くいくよ?」
振り返って顔を見るとなんでなのか、誠は顔を真っ赤に染め上げていた。
そしてその表情はあわあわと慌てている。