お姉ちゃんの憂鬱
「あ、あたしだって好きだよアホ!今更何言ってんだこのミカン頭!ずっとってなにさ!それならもっと早く言えよバカ!」
次にあたしの口から飛び出したのは、暴言に混ざった素直な気持ち。
無意識のように紡がれたそれに、偽りの想いはない。
「え、かなちゃん…」
「あたしも好きだったよ。ずっと。」
弟みたいだとも思ったけど、でもあたしの弟は遥香ただひとりだ。
この幼馴染は、弟じゃない。
あたしが特別な感情を向ける相手なのだ。
落ち着いて、再び素直に返事をすれば、一瞬で先ほどよりももっと真っ赤になった誠。
その顔は、あたしの大好きな笑顔だ。
「かなちゃん大好き!俺と付き合って!」
「どぅあっ!!痛い!離せバカ犬!」
「ダメ!無理!」
繋いでいた手を離したと思ったら思いっきり抱き付いてきた誠。
昔飼っていた大型犬に突撃されたときもこんな感じだったな…
「かなちゃん好き好き。もう俺今幸せでどうしよう」
「わかったわかった!わかったからいったん落ち着こう誠!ここをどこだと思ってるんだお前は!」
人の行きかう往来でなにをしてくれてるんだこいつは。